笠ヶ岳 鏡平周回 2023-9/23-24

笠新道から登って笠ヶ岳でテント泊。帰りは鏡平経由で。初日の天気がイマイチで、期待していた杓子平がガスガス。2日目は予報以上というか期待以上の好天。笠ヶ岳から弓折岳までの稜線を気持ちよく歩くことができました。そして、なによりも鏡平がよかった。晴れた鏡平は初めてで、こんなにいいとこだったのか…と思ったのでした。紅葉がちょっとまだ早いのがアレでしたけど…。

  • 日程: 2023年9月23日(土)~24日(日)
  • 天気: 1日目:くもり 2日目:晴れ
  • メンバー: T世
  • 温泉: 平湯温泉 ひらゆの森(700円)
  • 食事: 志那そば太郎(松本市梓川)
  • 登山口情報: 鍋平の登山者用有料🅿 300円/日 離れたところに無料🅿もあり
1日目
  • 新穂高登山指導センター(5:40)
  • 笠新道登山口(6:40~50)
  • 杓子平(7:55~8:10)
  • 抜戸岳(11:25~40)
  • 笠ヶ岳テン場(12:35)
2日目
  • 笠ヶ岳テン場(7:25)
  • 抜戸岳(8:40)
  • 秩父平下降点(9:10~25)
  • 大ノマ岳(10:35)
  • 弓折岳(11:20~35)
  • 鏡平山荘(12:15~45)
  • わさび平小屋(14:35~45)
  • 新穂高登山指導センター(15:40)

ここ数年のパターンからして、この週は紅葉狙いで東北遠征でした。しかし、今年は9月中旬になっても真夏に近い状態が続いてます。チェックしてても紅葉の気配さえない感じ。なので、北アルプスでも登っておくか…。ちょっとしんどいかもしれないが、テン場の予約が要らない笠ヶ岳へ。

新穂高の駐車場が最大の核心

笠ヶ岳となると心配なのが駐車場。でも、鍋平に大きな駐車場があるので、駐車場難民になることはない。ただ、駐車場から本来のスタート地点まで150mほど下ることになります。できれば深山荘のとこに停めたい。

3時半に安曇野を出発。5時前に新穂高に着きます。ダメ元で深山荘のとこに行ってみるも、誘導員が立ってて満車とのこと。深山荘の駐車場は前夜でも厳しいのかなあ…?あと運も必要かも。てなわけで、新穂高の案内所のとこにT世さんと荷物を置いて、鍋平の駐車場へ。鍋平も相当混雑してました。登山口に少し近い登山者用の有料Pへ。1日300円だからまあいいか。で、なんだかんだの5時40分出発となったのであります。

朝のところはまずまずのお天気

登りはしんどいことで有名な笠新道

左俣の林道を歩きます。これが結構な傾斜でキツイんですよね。ここの林道を歩くのは久しぶりかな~。新穂高の賑わいからしたら、林道を歩いてる人は少ないです。半分以上は槍方面と思われます。さらに左俣林道を歩いてる人の大半は双六方面へと向かうでしょう。笠新道が少数と思われます。天気の方は、少し薄雲があるけど笠ヶ岳がバッチリ見えてます。

笠新道は急登でしんどいと専らのウワサ。確かに地図を見ると、急斜面を一気に杓子平まで1100m登ります。しかしながら、この急斜面は大きく緩めのジグザグ道なので、急で大変ってわけではないです。下りで使う時なんて、逆になかなか高度が下がっていかなくてストレスになるくらい。ただ、見どころがないので試練の区間であることには間違いないです。

何がしんどいかと言ったら、杓子平に出て抜戸岳に上がり、さらに稜線を小1時間ほど歩かなくてはいけない…というとこ。新穂高から笠ヶ岳まで標高差1800mもありますからね。急登でしんどい…というより、この1800mという標高差がしんどいんです。そうは言っても、笠ヶ岳に登る最短コースであることは確かです。

笠新道の登山口 水が出てなかった
笠新道上部で灌木帯になると紅葉しはじめてきた

杓子平まで登ってきましたが…

本日の一番の期待は杓子平。朝は晴れてたのに、しばらくで谷間に雲が湧き始めます。雲の中を歩くのですが、2000mくらいから時おり太陽が出るように。雲海の雲を抜けたのかなと思ってました。しかし、登れど登れど雲から抜け出さない。杓子平を見下ろす地点に来ても、雲に覆われたままでした。時折雲が薄くなって、薄っすらながら全体が見えてくれました。一瞬だったけど全体が見えたので、ラッキーだったということにしときましょ。

杓子平までが登りの核心。核心を終えて気が緩んだのか、抜戸岳への最後の登りが精神的にしんどかったです。ちなみに、杓子平を見下ろしますと、灌木の紅葉は少しずつ色付き始めてますね。先週は立山でしたが、紅葉の気配はほとんどありませんでした。猛暑とは言え、季節が進んできてるのを実感です。

杓子平を見渡せるところに出た
ダケカンバなど色付き始めている
杓子平に出てからも長かった
晴れてれば素晴らしいロケーションのはずなんですが…

稜線を小1時間ほど歩いて笠ヶ岳のテン場へ

あとは『霧時々くもり』的な天候の中、小1時間の稜線歩きで笠のテン場へ。いくつかピークを越していくので、登りのたびに脚はキツイです。笠は目の前のはずなのに見えないもどかしさ…。時折眼下に杓子平が薄っすら見える。抜戸岩を過ぎてしばらくで播隆平が見えてきて、やっと笠ヶ岳本体の登りになった。ほどなく本日のテン場着。

抜戸岳近くの稜線に出ました
打込谷の源頭部 快適そうな河原が見える
抜戸岩
時々雲に覆われてしまう

晴れれば笠ヶ岳山頂に行きたかったけど・・・

テン場に着いた時は、テントは疎らで、まだまだスペースたっぷりに見えました。しかし、優良物件を求めて物色していると、快適そうなスペースは多くはなかったです。テントは疎らでも、使えそうな物件は少な目です。それでもまだ、どれにしようか悩む程度には残っていました。とりあえず、一番マシそうなところに決めてキープ。あとはビール飲みながらのんびりテント設営であります。

のんびりテントを張ってると、あれよあれよと周辺のスペースが埋まっていきました。みなさんお仲間のよう。しゃべってる言語は韓国語。韓国の人に取り囲まれちゃいました。翌朝お話したところ、みなさん日本で働いておられるようでした。

晴れれば笠ヶ岳の山頂にでも…と思うのですが、どうもスカッと晴れる気配はない。今回もテン場でチビチビ吞むパターンです。今年は早くテン場に着いて、早い時間から延々と飲むパターンが続いています。今日は笠新道に備えてビールは2本だけ。足りない分は小屋で調達。350mlが600円でした。喉が潤ってからは、いつものように日本酒に移行。酔っぱらっちゃったので、これから晴れても山頂はナシだなあ…。晴れませんでしたけど。

お昼過ぎにテン場到着 まだスペースは残ってました
穂高と笠の間に変な雲が湧いてました ジャンダルムと奥穂
時間とともにテントは増える
稜線の高さの雲はなくなってきました
穂高の間にある雲はしぶとい

2日目

夏の気圧配置がずーーーっと続いてたこの夏、というか秋。この週末、初めて秋雨前線が日本より南に下りました。初めて秋の空気に覆われました。朝晩の気温は一気に下がります。とはいっても、平年よりは高めな予報。なので夏用シュラフで臨みました。そしたら結構寒かったです。起きたらフライシートは霜でバリバリ。暑さ続きで、寒さに耐性がなかったのもありそうです。

朝メシ食って薄明るくなる頃に、笠ヶ岳の山頂に向かいます。山荘のトイレ経由で。そうそう、笠ヶ岳のテン場にはトイレがないんです。なので、山荘まで行かねばなりません。寝る前のトイレのタイミングが難しいですよね~。そして、朝はできれば山頂に行く時まで我慢したいところです。なんとかガマンできました。ついでに〇〇〇も済ませ一石二鳥です。

笠ヶ岳山頂で御来光を…のはずが

日の出の時間までに山頂に着いたのはいいけど、太陽が出てくるところに雲があって、御来光とはいきませんでした。御来光はダメだったけど、雲海がおもしろかったです。北からの雲海が西鎌尾根を越えたり、せき止められたり。焼岳と西穂の稜線にも滝雲がかかってました。高山市街は雲海の底。笠ヶ岳の影も映ったりで、まずまず朝の時間を楽しめました。

日の出前の笠ヶ岳山頂
槍がシルエットに
焼岳と西穂の間の稜線から滝雲が
西鎌尾根の向こう側は雲がビッシリ
高山の街は雲海に沈む
笠ヶ岳の影
このあと辿る山並み
クリヤ谷のルートは現在のところ未整備で通行止めとのこと
笠ヶ岳山荘は素晴らしい立地
外観はこぎれいな山小屋ですね
テン場のロケーションも抜群です!

弓折岳までは快適稜線歩き

テントを撤収して出発です。昨日は笠新道を登ったので、今日は弓折岳まで稜線歩きして、鏡平経由で下山予定。見どころが多いので楽しみであります。10分ちょっと歩いたところで、ストックを持ってないことに気付く…。テン場に置いてきてしもーた…。普段はストックは使わないので、ストック忘れたことに気付きませんねぇ。ここ最近はテント装備背負って大きな段差を登る時、膝に痛みが走ります。ですので、立ち込む時にストックのお力を借りてるという次第です。ちなみに下りはストックしまう。

歩き始めて10分。戻れる距離でよかったです。テン場に戻る時は当然笠ヶ岳に向かって歩きます。この笠ヶ岳に向かって歩く感じがとってもよかったです。ストック忘れて得をした…とまでは言いませんが、この往復は景色も良くて苦になりませんでした。

笠ヶ岳山頂とテン場
少し歩いて笠ヶ岳 今日はクッキリ!
抜戸岳の方へと進みます
だんだんと離れる笠ヶ岳
どんどん離れる笠ヶ岳
槍と穂高は朝は逆光になる
広大な杓子平を見下ろします

だんだん離れて形の変わっていく笠ヶ岳が面白い

笠ヶ岳から抜戸岳にかけては、稜線の西側はハイマツがビッシリ、東側は崖かカールかお花畑か…で変化に富んでます。道は地形が穏やかな西側に付けられていることが多いので、ハイマツの中を歩くことになります。それでも、笠ヶ岳の見え方が刻々と変わっていくのが面白かったです。一番気になったのは打込谷の源頭部だったことは言うまでもナシ…笑。

抜戸岳を過ぎて
逃げない雷鳥がいました
本日最後の笠ヶ岳 この先で秩父平に下ると見えなくなる
秩父平と槍ヶ岳
これが本日の笠ヶ岳の見納め

小さなカールの秩父平へと下ります

抜戸岳の北端にあたるところから、秩父平に向けて急降下します。その手前、最後に笠ヶ岳がしっかり見える場所で休憩です。このあたりになると、黒部五郎岳や薬師岳も近く感じるようになります。だんだんと黒部源流というか双六のエリアになってきたなと実感します。

秩父平は小さなカール地形。その脆いカール壁を下って秩父平へと下っていきます。涸沢みたいなデカいカールは壮観ですが、秩父平のような坪庭のような小さなカールも好きです。カールってのは、穏やかさと険しさを併せ持ってるからいいのかなあ~。ここ秩父平のカールにも『秩父岩』という険しい岩峰がありますんで。

稜線からしばし離れて秩父平へと下ります
秩父平へは不安定なガレを下る
秩父平はこじんまりとしたカール
あれが秩父岩かなあ?

秩父平に下ってから大ノマ岳を越える

秩父平へとだいぶ下ったので、次は大ノマ岳への登りとなります。登り始めるあたりが庭園風なロケーションがよかった。大ノマ岳を越すと、双六がグイっと近くなりました。もうここは周辺のロケーションからして双六エリアです。大ノマ乗越からは沢通しに下る道がありましたが、もう踏み跡すら残っていませんね。大ノマ乗越から下れると、下山がずいぶん楽なのですが…。ただ、鏡平には立ち寄れない。

左が双六岳、右はこれから登る大ノマ岳
秩父平が離れていく
大ノマ岳への登りは明るい
秩父平が平に見えなくなってきた
奥に薬師岳も見えてきた

弓折岳の山頂はのんびりとした山頂

弓折岳への登りが本日最後の本格的な登りです。150m弱の登りですが、最後の登りというのが頭にあると、何故だかしんどくなるのが常。弓折岳の山頂付近は台地状になってて、とっても雰囲気の良いところでした。最高点は2592mのピークですが、2588.5mの三角点のある場所に弓折岳の山頂標識がありました。ここに立ち寄ったのは初めてのような気がする。双六南峰カールの斜面(昔滑った)が見えてて懐かしい。

大ノマ乗越への下り
双六岳南峰カール
大ノマ岳と抜戸岳
弓折岳からの槍ヶ岳 このあたり丘のような地形
槍&穂高連峰
双六南峰カールは改めて素晴らしい斜面だ

鏡平へと下っていくロケーションが抜群でした

あとはほぼ下り。鏡平に向けて下っていきます。しかし鏡平は絶好な場所にあるよなあ…。少し飛び出した尾根上に平坦な場所があって、そこに池が点在するという…。眼下に鏡平をみつつ、仰ぎ見れば槍ヶ岳!鏡平への下りはホント気持ちよかったです。これも安定した好天のおかげであります。お昼になっても雲が出てきませんから。

弓折岳からは鏡平に向けて下っていきます
鏡平は素晴らしい立地にあります
槍ヶ岳に向かって歩いて行く感じが素晴らしい
鏡平あたりの紅葉は色付き始め
弓折岳への斜面

鏡平の紅葉はまだ色付き始めといったところ

鏡平まで下りてきました。最初に出てくるのが『ひょうたん池』。ひょうたん池の細くなったところに橋が架かってて、まるで庭園。その先に鏡平山荘がありました。山荘前のテラスはそこそこの人。空いてるベンチでのんびりします。そして散策。鏡平の代名詞的な池であります鏡池へ。ここは池越しに槍ヶ岳が見えます。仙人池とかぶるものがありますね。

ちなみに紅葉の進み具合ですが、やっと色付き始めた段階でしょうか。今年はとにかく猛暑が途切れることなく続き、秋の気配は全く感じられませんでした。それでも色付き始めてて、やっぱり山だなあと思ったのでした。紅葉の様子は動画を見て頂ければ一目瞭然です。

鏡平に到着です
だいぶ秋めいてはきてるが、平年に比べると紅葉は遅い
ひょうたん池
紅葉としては鏡池よりも良いかもしれない
鏡平山荘
これが有名な鏡池
少し風があったので鏡とはいかなかった
八方池に似てるような似てないような
無風だと鏡になるのか
最後に逆さ槍を

あとは新穂高まで長い長い下り

あとは見どころはなく、ひたすら下るのみ。既にお昼を軽く回ってます。鏡平から下は道がよく整備されてます。下りの脚に優しいです。2日ほど前に北アルプスでは大雨になったようです。下山するときに渡る3本の沢は、土砂が流れてきたようで道が流されていました。早くも応急路が整備されていました。最後の秩父沢では、まさに応急路の作業中でした。ご苦労様です。

登山道が通ってる沢はスケールが大きいので、景色があんまり変わりません。見えてるのに着かない…状態。左俣林道にやっと下り立ってホッとするも、このあとの林道歩きが1時間以上残されています。それでも、わさび平小屋、笠新道登山口…とチェックポイントがあるので、多少は気が紛れます。笠新道登山口から新穂高までは、いつものことながら長かった。

新穂高に到着。ここは文明の利器を利用です。この期に及んで鍋平までの標高差150mは登ってられん…。新穂高ロープウェイの下の区間を利用すれば、あとは横歩きだけで済みます。荷物も置いて空身で行けますしね。ちなみに、新穂高から鍋平までのロープウェイの料金は500円です。最近のリフト料金並みで助かりますね。そんなこんなで無事下山であります。

3日前の豪雨で3か所の沢で土砂が流れてて道が流されていました
稜線がずいぶんと遠くになったもんだ
わさび平小屋 えらいキレイになってます

下山後の温泉とラーメン

下山後温泉は考えるのも面倒臭いのでひらゆの森。駐車場はすんごい車の数だけど、施設のキャパが大きいので人口密度は思ったほど高くない。温泉の洗い場もたくさんあるし、湯舟もたくさん。とくに露天風呂が充実してます。下山後ラーメンは松本まで戻ってから。久しぶりに梓川の志那そば太郎へ。シンプルで美味しいので好きな店です。

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