神威岳 2023/8/15

北海道は日高山脈にあります神威岳に登ってきました。神威岳は日本三百名山に選定されております。いつかは登っておかねば…と思いつつ、なかなかねぇ…。歳とともに厳しい山は登れなくなるので、まだ辛うじて登れそうな今のうちに登っておくことにしました。前日に登ったペテガリ岳も然りです。ペテガリ岳に比べると、まだだいぶ余裕はありました。

平面で見た場合、はじめの3分の2を沢歩きが占めます。ほぼ平凡なゴーロ沢。そして、残りの3分の1が尾根の急登。この急登は北海道三大急登とのこと。急なだけならまだいいけど、下半分は笹薮、上半分はハイマツと灌木の藪。四股を使って登る場面が多かったです。中腹から山頂直下までは強風&ガスガスで惨めな思いも…。山頂は何故か無風で晴れてるという不思議な天気でした。晴れてるといっても上空だけで、日高の山並みを眺めることはできませんでした。とりあえず登頂という事実だけは果たしてきました。

  • 日程: 2023年8月15日(水)
  • 天気: 晴れ~ガス~晴れ~ガス~晴れ
  • メンバー: 一人
  • 温泉: 三石町 昆布温泉 550円
  • 食事: セイコーマート
  • 登山口情報: 神威山荘に10台くらい停めれそう 山荘にトイレあり
  • 神威山荘(6:15)
  • 430m二股(6:40)
  • 尾根取り付き(7:55~8:05)
  • 神威岳(9:55~9:20)
  • 尾根取り付き(11:25~35)
  • 430m二股(12:40)
  • 神威山荘(13:00)

前夜は三石の道の駅で車中泊

前日、前々日の2日間でペテガリ岳に登ってきました。かなり疲れましたが、日数には限りがあるので、身体にムチ打って頑張りましょう。最寄りの三石の道の駅で車中泊。わりと涼しくてしっかり寝れました。神威岳のコースタイムは8時間。まあ、8時に出ても4時には下りれる計算です。ゆっくり寝て、ゆっくり出るつもりでしたが、天気予報を聞くと午後ほど悪いみたい。できれば降られたくないので、少し早めに道の駅を出ました。

途中にあるセイコーマートで朝飯と飲み物を買うつもりが、開店が6時とな…。開いてそうなコンビニまでは往復30分はかかるかな~。飲み物は農協の自販機で調達し、朝飯は行動食でしのぐことにしました。どうせ山ではほとんど食べないので。

昨日戻ってきたばかりの元浦川林道を再び上がっていきます。路面は悪くないけど、20キロあるのでウンザリします。神威山荘に着くと先客が3台。ちょうど1名様が出発するところでした。昨日は先行者がいないので草露でビッショリ。今日は最低3人はいるので、幾分マシかな~。

神威山荘 先客は3台でした

水平距離では最初の3分の2が沢歩き

今日の履物はモンベルのアプローチシューズみたいなやつ。防水性はナシです。大千軒岳、ペテガリ岳と沢歩き付の山を登って学習した上での結論です。ソールが柔らかくて、濡れた岩も滑りにくい靴なら、沢歩きも尾根登りも1足でOK!とくに今日のような天気だと、せっかく乾いた靴に履き替えても、濡れた笹薮漕ぎで全身びしょ濡れになってしまいます。天気が良くて草露がなければ、まあ2足仕様もありかなとは思いますが…。ただし!フェルトの沢靴で尾根登りは絶対やってはいけません!

歩きはじめてニシュオマナイ川沿いを少し歩きます。しばらくで渡渉。このまま沢歩きになるのかなと思って沢沿いを歩きますが、踏み跡もなければ赤テープも見当たらない。おかしいなと思って地図を見ると、どうも対岸の川から少し離れたところにルートがあるみたい。見当を付けて対岸の一段上の段丘みたいなところに登ると、超明瞭な林道跡に踏み跡が続いていました。ちょっとロスこきました。リサーチは大事です。結局この林道跡は二股まで続いていました。

二股からは沢歩き。様子見がてら巻き道を利用してみますが、ちょっとだけど高巻き気味になったり、笹が被ってたり。好んで利用はしたくない感じ。なので、基本沢通しというスタンスでこの先進みます。大半は平凡なゴーロなのですが、たまーに沢幅が狭まって小滝など出てきます。沢登りをする人ならノープロブレム。したことない人には厳しめな場面もあるかもですが、全ては個人の力量によるところが大きいと思われます。

二股から少しのところで、巻き道から人が現れました。神威山荘に到着したと同時に出発していった人です。巻き道を探してウロウロされてます。やはり沢通しが正解と確信しました。あっという間に視界から消えてしまいましたので。沢歩き区間の半分が過ぎたくらいで、今度は年配の方が巻き道を歩いておられました。沢区間でかなり身も心も消耗されている様子。やはり本州で沢歩きに免疫のない人は大変そうです。

全行程の半分以上が沢歩き
わりと渓相のよいところもありました
巻き道もありましたが、水線通しで楽しみました

神威岳への尾根道は北海道三大急登だそうな

尾根取り付きまで来ました。岩に矢印と枝に赤布が2本ぶら下がってるだけで、意外と目立たない。ボケーっとしてたら通り過ぎそうです。こんな時はほんとスマホアプリ様様です。地図読み作業は何もしなくていいんですから。ここにビニール袋がデポしてあります。恐らく先行者の沢靴かな。

さて、尾根に取り付きます。のっけから笹の急登です。これはウワサに違わぬ登り。尾根自体の傾斜はそこそこなんですが、とにかく直線的に道が付けられています。足元も良くないので、沢をつかみながら登る場面多数でした。登り始めて10分か20分か、先行者に追いつきます。関西弁だったので和歌山ナンバーの方かな。先行者に草露を払っといてもらう目論見がはずれて、先頭に立つことになりました。もっと遅く出るべきだったか…。

今さらですが今日の天気は…。ここ数日続いている東風。今日も健在のようで、十勝側からの風が日高山脈にぶつかって雲が湧きます。それが滝雲になって日高山脈を越えていきます。前日の夕方は三石町の街からもよく見えました。今朝も下界から滝雲になってるのが確認できました。この東風の強弱によって山の天気が左右されるようです。今日は日高側はわりあい穏やかな天気です。

さて、中腹に差し掛かるあたりで、風が強くなりガスの中に突入です。最初はたいしたことなかったのですが、徐々に風もガスもきつくなっていきます。ガスのせいか笹も濡れはじめ、今日も全身ビショビショ登山です。強風と濡れが厳しくなってきたので、上だけカッパを着ます。気温はかなり高めと思われますが、カッパ着ても汗かかないくらいでした。

あーー今日も山頂では展望もなく、ただ登っただけで終わりかな~。そんな雰囲気が濃厚だったのですが、山頂に近付くと空が少し明るくなってきます。そして、山頂が見えてくると上空には青空も。同時に吹き荒れていた風も弱くなりました。奇跡が起こったかと思うような荒天から好天。俄然、気持ちも盛り上がります。

中間は強風ガスガスでしたが、山頂が近付くとなにやら明るくなってきました

神威岳山頂では奇跡と思える晴れ模様に!

神威岳山頂です。よく見る有名な(多分)山頂看板もありました。ただ、真っ二つに割れてしまってます。しっかり写真を撮っておきます。山頂はほぼ無風で上空には青空が広がっています。ただ、十勝側からは分厚い雲が押し寄せてきてて、日高山脈の稜線を覆っています。それが見事な滝雲に。この滝雲の景色は一見の価値ありなのですが、やはり日高山脈の山並みが見えてナンボです。

十勝側からの雲が日高山脈を這い上がって越えていくのですが、コルなど低い部分に気流が集まる傾向?逆に尖った山頂は、風が山頂を避けて左右に分かれて稜線を越えていく。このロジックはわかるけど、強風ガスガスが無風の晴れになるのが不思議極まりなかったです。不思議な現象ではありましたが、山頂が穏やかで何よりでした。ただ、今日も日高山脈の山並みを見れなくて残念この上なしです。

記録でよく目にする看板
落ちて二つに割れてしまってます
了解です!
十勝側はガスガス、日高側は晴れ
十勝側からの雲が滝雲となってオーバーフロー ソエマツ岳方面と思われます

下山も手強い神威岳

下山開始です。少し下ると、やっぱり雲の中に突入です。そして、雲は濃くなり風は強くなります。やっぱり登ってる時と同じで強風ガスガスです。やっぱり不思議で仕方なかった…。しばらくで立て続けにお2人とすれ違いました。『信じてもらえないかもしれませんが、山頂は晴れてますよ!』と言っておきましたが、信じてくれたか…。きっと『晴れはウソだろ…』と思われてるだろうなあ…。

今回の北海道ではストック1本を片手に持って歩くスタイル。普段はストックは使いませんが、北海道では熊対策として利用。素手で戦うよりストックがあると少しはマシかな~と思って。あと、日高は熊スプレー装着率高し!きのうのペテガリ岳も今日の神威岳も、みなさん装着しておられました。どちらの山も単独の方が多いので、もしもの時のために心強いですよね。ストックよりも有効でしょう。もちろんワタクシも腰にぶら下げております。ちなみに、今回の北海道で雌阿寒岳や樽前山では、恥ずかしくてぶら下げていられませんな。

そんな武器のつもりで持ってきていたストックは、この北海道三大急登の下りではさすがに邪魔。両手両足をフル活用せねば!ストックはザックの横に差しておいたんですが、藪が濃いので引っ掛かって邪魔でした。なんだかんだ言って下りは早いです。1時間ちょっとで沢に降り立ちました。沢に降り立つ直前に、下ってる年配の方に会いました。1200mくらいで限界と思ったので引き返したそうです。登りで抜いた時の感じでは、失礼ながら厳しいんじゃないかなあ…と思ってました。まあでも、賢明な判断でしょう。

さて、あとは沢沿いに下るのみですが、距離にして3分の2は残ってます。朝はまだ日が射さなかった沢ですが、太陽が高くなって日が射しこんで、明るい沢になっています。悪くない渓相です。神威岳登頂の余韻に浸る気分で下っていきました。下りは二股のところ以外は全て沢通しです。沢歩きが苦手な方以外は、沢通しをお勧めしたいけど、こればっかりは個人によるので…。

二股から右岸の林道跡を辿ります。あとはテクテク歩くのみで、強いて言えば熊に遭わないことを祈るのみ。対岸に渡って林道跡を進むと、ほどなく神威山荘です。無事に登ることができて、ホッとした気持ちで一杯です。

帰りは谷に日が当たって明るくなりました
沢下りを楽しみます
帰りは全て水線通しで(二股の巻き道以外)

懸案の3つの山に登れて肩の荷が下りました

今回の北海道では、絶対に登らなければいけない山として、大千軒岳、ペテガリ岳、神威岳の3つがありました。どれも面倒くさい山ばかりです。加えて天気予報が芳しくない日が続きました。今回の北海道は10日間だったのですが、前半はこの3つの山を片付けることで頭が一杯。天気の良くない日に面倒くさい山に登らないといけない葛藤…。小さくない重圧を感じておりました。そして今日!神威岳を登ったところで、この面倒くさい3つの山は片付きました。肩の荷が下りるというのはこのことか!肩の荷が下りたあとの心境は、このあとは純粋に北海道の山を楽しめる!でした。

下山後温泉と下山後ラーメン難民

今日も下山後温泉は三石の昆布温泉。今日はのんびりと入れました。入浴後はマッサージ機で寛ぎます。あとは下山後ラーメンってとこですが、お盆中のせいか通し営業のお店もお休みだったりで、下山後ラーメン難民と化しました。3軒だめだったので諦めました。今夜は新冠の道の駅で泊まります。併設のセイコーマートで買い出しし、車の中で一人宴会と相成りました。

明日は天気が良くない予報なので、完全休養日とします。4日間山に入って、全て全身びしょ濡れ。濡れた服をそのまま袋に詰め込んでます。臭いのが熟成しそうなので、明日のうちに洗濯でもしておこう。

今日は下山後ラーメン難民になりコンビニにて お盆休みの店が多かった

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