北アルプスは後立山連峰、朝日岳が水源の白高地沢を登ってきました。詰め上げたのは吹上のコル。実に実に、4年ぶりの泊りの沢登りであります。改めて沢の中で泊まるのは、贅沢な大人の遊びだなあと思ったのでありました。
白高地沢はこれといった難所はなく、全体的には平凡な沢。中流部にちょっとした連瀑帯(と呼べるほどでもないが)があります。渓相は北アルプスらしく明るくて、とくに源頭部はお花畑の中の流れを辿る天国系です。沢登りというよりも川旅系。一般的には遡行の対象にはならない感じなのかな?核心は間違いなく下山です。下山なのに最後に400m登って終わるという…。
1日目
- 蓮華温泉(8:25)
- 白高地沢入渓(10:30~11:05)
- 1430m二俣(12:05)
- 1590m二俣(13:40)
- 1730mテン場(14:30)
2日目
- テン場(7:40)
- 1960m二俣(9:05)
- 終了点(10:10~45)
- 吹上のコル(10:55~11:15)
- 白高地沢橋(13:40~55)
- 蓮華温泉(15:55)
1日目 7月17日(土) 蓮華温泉の駐車場はやはり満車でした
今回のメンバーは、企てたこーちゃん、きょーちゃん、そして最近知り合ったゆきちゃんの4名。途中で拾ったりしながら、平岩駅でいったん全員集合。そして蓮華温泉へ。予想通りといいますか、やっぱり蓮華温泉の正規の駐車場は満車。路駐の列が伸び始めてるとこでした。少し離れるけど、無事に無難なところに駐車です。
天気は快晴!スタート地点であります蓮華温泉から、雪倉岳や朝日岳が見えてワクワク!詰めの様子とかが伺えます。核心が潜んでいそうな毛虫マークの部分ももチラッと見えたり。さて、どうなりますやら…。
入渓まで2時間という長いアプローチ
瀬戸川に架かる橋まで400m下ることから始まります。ってことは、明日は最後にここを登るってことか~。瀬戸川からは白高地沢までは300mの登り。梅雨明けホヤホヤでいきなり猛暑。今年一番の汗のような気が…。早く川に入りたい一心で歩いていました。
入渓からしばらくは快適な河原歩き
白高地沢に架かる立派な橋を渡ったところで入渓準備。重荷を背負っての沢歩きは4年ぶり。ちゃんと歩けるか少し不安。はじめは穏やかな河原歩き。水に入るとさっきまでの暑さがウソのよう。クールダウンできました。思ったよりは水量は多そうです。狭まってくると渡渉が大変になるかもな。
いきなり頭になかった大きな二俣。というか、ノーマークだった。地図をよ~く見ると二俣になってて、しばらく先でまた合流してます。こんな大きなインゼルは初めて見ましたね。中州というよりか、中州部分は樹林の生える丘でした。ここを皮切りに、この先も地形図でわからない謎な部分が何度か出現。ルーファイ激ムズな白高地沢でした。
はじめの二俣の先に核心部となる連瀑帯が
ほぼ河原歩きかなと予想していた白高地沢。何かあるとしたら毛虫マークのある二俣のところかな…と。で、二俣に近付くと、連瀑帯になってるのが見えてきました。やっぱりあったか…。近付くと、水際を登るのは無理。左から高巻きです。水分含んだユルユルの砂の斜面が登りにくかったけど、高巻き自体は難しくないです。
はじめの2つは高巻き。それ以降のは水に近いところを進んでいけました。やや小難しいとこもあったりで、連瀑帯の後半は結構楽しめました。この先、1700mで緩くなるまではゴーロ滝や巨岩滝など出てきて、時々てこずります。すんなり宴会させてもらえません…
白高地沢には快適テン場は少ないです
1700mで緩くなったあたりでテン場を求めます。入渓してからほとんど河原がなく、灌木が水際まで生えてきてます。ナイステン場のないパターン。イヤな予感。やっぱり快適な河原はなかったです。1700mから1750mの緩い区間で宴会できそうな物件は1ヶ所のみでした。あってよかった!なかったら惨め…。マキも少なかったなあ…
ダラダラと呑んで食べてと贅沢な時間が過ぎていきました
テン場の方は、寝るスペースはまあまあだったけど、焚火がちょっと手ぜま。贅沢言っても仕方ないですが。最初は狭いなとか思ってても、居るうちにだんだんと慣れてくるものです。マキは少なかったけど、湿っててなかなか燃えなかったので、かえって長持ちしてよかったです。
今回は宴会重視?だったので、酒も食材も豊富です。暑かったのでビールが旨かったです!買ってきた肉や、自家製の野菜、道中で調達した行者ニンニクやキノコも加わります。一応、花火もできました。宴会は10時くらいまで続いたんだっけか…?
2日目 7月18日(日) 天国の詰め、地獄の下山
1700mで快晴ってことでか、夜は少し寒かったです。目が覚めた人から順に起きて動き出す。朝も焚火で朝食。そのぶん時間がかかってしまいましたが…。7時半くらいのスタートになりました。
1750mくらいから傾斜が増します。ここは等高線は混んでるけど、沢形が深くないので難所はないとは踏んでいました。そこは予想通りだったんですが、なにしろ地形図と実物が合わないところが多くて苦労しました。何度もみんなで相談し、首をひねる場面が。このあたり沢が浅く、広い斜面を何本かの水流があるって感じ。そこそこ水流があっても、沢が浅いと地形図に反映されてこない。こんなの初めてでした。あとでグーグルアースで確認してみると、やっぱり写真と実物は合っていました。
ルーファイ激ムズの一例
地形図では実際にたどったのが赤線。どうみても青線が本流に見えますよね~。しかも水量比は赤2:青1くらいでした。赤線青線の分岐のところで、今ここはどこなんだ…と真剣に悩んじゃいましたね。航空写真だと赤線が辿った沢です。インゼルもいくつかあって本当に複雑です。もしも青線の沢形を辿っていたら、吹上のコルには詰められなかったです。水量の多い方を選んでよかったです。
今回の白高地沢のルートの1750mあたりからは、GWにスキーで辿ったのとほぼ同じ。GWだとただの雪の斜面だったような。きれいな一枚バーンだった記憶です。
1900mあたりまで登ると源頭の雰囲気に
1900mくらいで再び傾斜が緩んできて、だんだんと源頭の雰囲気に。この先も地形図と現物が合わなくて困りました。ここも広い斜面を幾筋も沢が流れてます。地形図見てもわけわからん。というか、さっきのところといい、地形図に表現できないんだろうな。吹上のコルが特定できてからやっと、地図と現物が合わない悩みから解放されました。
お花畑を縫うように小川を遡る天国系詰め
予定通り吹上のコルに詰め上げるか、それとも右の登山道に出てしまうか…の選択の場。右の登山道に進みかけたけど、やはり天国系の詰めに惹かれて吹上のコルへ。残雪もあちこちにあり、融けたところからミズバショウが咲き、雪田系の高山植物がたくさん咲いていました。そんなのどかな中を流れる水流を辿り、吹上のコルの少し下の登山道に出て遡行終了です。最後まで水は枯れませんでした。詰めはまさに天国系でしたね。
吹上のコルが本日の最終到達点
遡行を終えて沢装備を解きます。朝日岳の山頂まで登るのはキツイので、吹上のコルを今日の最終目的地とします。稜線まで上がると、登ってきた感がありますからね。稜線の反対側を見ることもできますし。ベンチもあったし、のんびりできました。
まさに地獄の下山でした
さて、これから地獄の下山。『天国の詰め、地獄の下山』はどこぞの〇〇ミズ沢と同じ。山頂も同じで朝日岳。どっちも行った印象としては、詰めの天国度は白高地沢が勝り、下山の地獄度も白高地沢が勝ってると感じました。最後に400m登る…が。沢の有名度は比較の対象にもならないくらい、○○ミズ沢が有名ですけどね。
吹上のコルから1983mのあるピークまでのトラバース区間、ほとんど標高を下げないのが精神的に辛かった。五輪高原から白高地沢橋までは一気に下るので、ストレスはないけど身体にダメージが蓄積…。瀬戸川を渡ってから蓮華温泉までの400mの登りは、ホントにきつかったです。体力落ちたのもあるだろうけど、それでなくてもしんどいと思う。
さすがにこうちゃんとゆきちゃんは最後まで元気でしたね。ボクときょーちゃんはヨレヨレ。救いなのは、下山する頃から曇ってくれたこと。これがカンカン照りだったらどうなってたことか…。ヨレヨレになりながらも、無事に下山できてよかったです。問題は明日だな。どんだけダメージが残ってるか…。恐くもあり、興味深くもあります。
下山後の温泉とラーメン
平岩駅で解散。このまま姫川温泉の瘡の湯へ。ガラガラかと思ってたら、わりとお客さんいました。大町のおおぎやラーメンで夕食。ラーメン好きではないと思われるお二人に付き合ってもらった感じかな~。最終のしなのに乗るゆきちゃんを明科駅まで送って全ての予定終了であります。楽しかったも大きかったけど、疲れたも大きかったな。
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