大天井岳から常念岳に向かって少し南下すると東天井岳があって、そのピークを回り込むところから南西に派生する尾根があります。この尾根が二ノ俣尾根。ちょうど尾根の入り口にあたるところにはロープが張ってあり、『廃道 通行止』の看板が立ってます。通るたびに気になっていました。尾根には薄っすら踏み跡のようなのが続いてるし。気にはなっていたものの、そんなに行きたい!って感じでもなく、長らくほったらかし。ふとタイミングがあった今回のお盆に決行となった次第であります。
- 日程: 2024年8月11日(日)~12日(月)
- 天気: 1日目:晴れ 2日目:晴れのちくもり
- メンバー: 一人
- 温泉: 家
- 食事: 鶏そばてんほう(安曇野市)
- 登山口情報: 沢渡、上高地はごった返していました
1日目
- 上高地バスターミナル(9:05)
- 明神(10:15)
- 徳沢(10:55~11:05)
- 横尾(11:55~12:05)
- 二ノ俣(12:55~13:05)
- 峠沢出合(14:20)
2日目
- 峠沢出合(5:20)
- 中山峠(6:40~50)
- 2630mJP(8:50~9:10)
- 東天井岳(10:45~11:15)
- 常念小屋(12:25~13:00)
- 一の沢登山口(15:05)
- 冬季ゲート(16:10)
お盆前半は急きょ二ノ俣尾根へ
今年のお盆は9連休。わりと空く後半に予定を入れました。前半は行き当たりばったりの川旅でもしようかと考えていました。しかし、腰痛と膝痛が治りかけな状態。3泊の川旅は心配だなあ…。で、この1泊2日の二ノ俣尾根に行くことにしました。初日は天気よかったけど腰が不安で見送り。2日目の11日に出発としました。
二ノ俣尾根に行くことを決めてから、一ノ沢林道の通行止めを知ります。先日の大雨で林道の路肩が崩落したらしい。崩落現場の手前までタクシーは入るが、冬季閉鎖のゲートから先マイカーは通行止めとのこと。わざわざこんな時に行くこともない気がするけど、せっかく行く気になったことだし…。冬季閉鎖ゲートにチャリを置いといて、林道を余分に4キロ歩こう。前日置きに行くと、ゲートはしっかり施錠されてました。
お盆前半の上高地は大混雑です
初日は二ノ俣谷で泊まります。半日ちょいの行程です。沢渡まで送迎ありなので、アホみたいに早く出ても仕方なくゆっくり目なスタート。7時過ぎに沢渡へ。すでに駐車場は満車。バス待ちの行列ができてて、バスに乗ったのは8時過ぎでした。ある程度時間がかかるのは覚悟してました。
明神へのいつもの遊歩道は災害により通行止めで河童橋まで引き返す
上高地も賑わってます。河童橋周辺は黒山の人だかり。その黒山をかき分けてスタートです。小梨平を抜けたところで、明神に向かう遊歩道は災害で通行止め。ありゃりゃ…。出鼻をくじかれた。戻ると、小梨平の入り口のところに通行止めの案内がありました。見ずに素通りした自分が悪い。河童橋に戻ります。20分のロスタイムでした。河童橋を渡って対岸の遊歩道で明神を目指します。登山者も観光客も多くて歩きにくかったです。明神橋なんて久しぶりに通りました。明神まで遠かった。
二ノ俣谷出合までは距離との闘い
明神からはいつもの道。天気は最高です。きのう出てれば、この天気で二ノ俣尾根を登れたってこと。明日の予報は午後ほど悪くなる微妙な感じ。ちょっと後悔…。開けたところでは、明日登るはずの中山が見えます。なかなか急峻な山容です。中山の左隣りには赤沢山があります。赤沢山は色からして目立つのですが、中山は認識されにくい山なんかなと思います。
徳沢で休憩。日向はめっちゃ暑いです。新村橋は架け替え中のようです。パノラマコースから戻ってくる場合は、ずっと右岸の作業道歩くのかなあ…?やたら喉が渇くので横尾でも休憩。日陰のベンチで休んでたら、おばちゃんたちに取り囲まれて追い出されました。ここからはやっと山道。とはいっても、道が山道になるだけで、梓川沿いの平坦な道は変わりません。
二ノ俣谷で川歩き装備に変身
一ノ俣谷を過ぎてわずかで二ノ俣。槍沢と二ノ俣谷はほぼ1:1の二俣です。橋を渡った先の踏み跡から入って二ノ俣谷に降り立ちました。これでやっと暑さから解放される~。二ノ俣谷本流は峠沢までほぼ河原歩き。峠沢も難しいところはないと思われます。ですので、装備は軽装。ここまで半ズボンで歩いてきたけど、さすがにここで長ズボンに履き替えます。あとは靴も山歩き用、スパッツなし、追加の装備としては10mの細引きとシュリンゲ&カラビナ少々のみです。あと、テント持たない代わりにタープってところです。焚火グッズも少々。
峠沢出合までは概ね平凡な河原歩き
二ノ俣谷の水はスパッツもタイツも履いてないので冷たいかなと思いきや、想像よりぬるかったです。水量も控えめ。10数年前に二ノ俣谷を遡行しましたが、その時は台風直後で増水。初心者いたのもあるけど、渡渉にロープ使いました。結構苦労した記憶です。今日は何の心配もなしです。
二ノ俣谷は花崗岩でできてて、明るく水もキレイ。河原を歩いてるだけで気持ちいいです。ところが、気持ちよかったのは最初のうちだけで、なんだか身体がおかしくなってきました。少し歩くだけで息が上がります。とにかく身体が熱く、常に冷やしながら歩いてました。脚の筋肉も異常に痺れてきました。そういえば、徳沢あたりから身体に異変は感じていました。以前もこの症状になったことがあります。恐らく脱水か何かで暑さによるものと思います。しんどかったので峠沢まで長く感じたけど、峠沢までの短い距離なのでなんとか歩けたって感じです。今日一日、標高差がほとんどなかったのも幸いしたかな。明日はどうなることやら~
峠沢出合の広河原で一人焚き火宴会
目の前が徐々に開けてくると、峠沢出合の広河原。二ノ俣谷を遡行した時にも記憶のある広河原です。ここで宴会したいなあ…と思ったものです。無事到着したけど、ここでへたり込んでは動けなくなる。ゆっくりしたい気持ちに鞭打って薪拾いです。ありがたいことに薪は豊富。半径20mくらいで苦も無く集まりました。焚火は一人だろうが複数人だろうか集める薪は基本同じ。人数いるほど労力が少なくて済みます。薪が豊富でホントよかった。
薪はカラカラに乾いてるので即着火!調子に乗って投入するとすぐ燃え尽きそう。セーブしながらくべます。まあ、なくなったらまた集めればいいんですけど。薪集めは完了したけど、ゆっくりするにはまだ早い。寝床をこしらえておかねば…。広い河原にタープ張って、そこに一人で寝るという贅沢な…。タープ張ったところで一人宴会の始まりです。せっかく焚火があるので色々焼きたいところですが、肉とか焼いて熊が来ても困ります。一人なので焼き物は自粛です。一人だろうと焚火があると間が持つもので、気が付いたら夜9時。明日は早いので寝なければ…
2日目 二俣尾根から東天井岳へ
沢泊の時は目覚ましなんてかけずに起きるまで寝てます。しかし、今日はちょっと行程が長いので、目覚ましセットして強制的に起床。砂地なので快適に寝れました。ただ、片付ける時に砂を払うのが面倒くさかったです。まだ暗い中ゴソゴソ動き出します。残しておいた薪に火を点けます。ラーメン食って撤収。晴れてるのでタープはビショビショ。ちょっと重くなってしまった。
峠沢を詰めて中山峠を目指します
薄明るくなってしばらく経った5時過ぎに出発です。峠沢を詰めます。出合はガレが堆積してたけど、わりと水量のある沢でした。結構ぬめってる石があり、登山靴なので要注意。ツルっといっちゃいます。みるみる沢幅も水流も細くなり、枯れかけるところで最後の水分補給。きのうもそうだが、喉がカラカラに乾く傾向なので、たっぷり飲んでおきました。
水枯れからのヤブ漕ぎはそこそこ程度
水が枯れてからはシダ類のヤブで薄い踏み跡あり。ヤブといっても膝下。たいした苦労はなかったです。ところどころ倒木があって、それをやり過ごす方が大変。倒木のあとは何度か踏み跡に復帰できなくなりました。踏み跡ないと余分な力を使うことになるので、踏み跡求めて右へ左へ。峠の直下はかなりの急斜面になり、かなり体力を消耗しました。
中山峠は密林の中
中山峠はシラビソの中。少しは広くなってるのかと思ってたら、休憩もままならないほど手狭でした。さてと…体調はよくないです。喉の渇きも異常です。中山を往復すると最低でも1時間はみとかねばなりません。時間もそうだけど、体力の消耗が心配でした。そんなわけで、今回は中山はパス。今回は…というか、もう来ることはないと思います。
中山は断念して二ノ俣尾根を東天井岳へ
ということで、二ノ俣尾根を東天井岳へと向かいます。はじめのうちはシラビソ林。同じシラビソでも若いシラビソ林は小枝が邪魔して歩きにくい。大きなシラビソ林は登山道なみにスタスタ歩けます。スタスタ歩けるのは一部だけでした。そのうちシラビソの幼木になり、灌木も混じる手ごわいヤブ漕ぎに。ヤブの濃淡はあったものの、高山帯に出るまではヤブが続きました。高山帯への出口にあるハイマツのヤブ漕ぎが一番きつかったかな。
森林限界に出ると素晴らしい展望!
ハイマツ漕ぎから抜け出たところが裸地になってて、そこで初めて展望が!新鮮なアングルからの穂高連峰や常念岳が素晴らしかったです。標高は2450mくらいと思います。ここから先は高山帯。快適に登っていけるかなと思ったら、迂回できないハイマツの塊が何ヶ所か出てきました。背丈より高いハイマツは幹に乗って進むのですが、何かの拍子に幹から落ちるとさあ大変。這い上がるのに大苦戦。腰と膝が痛いので厳しかったです。
ハイマツの藪漕ぎ以外はまあまあ快適な稜線歩き
約2630mで左からの尾根と合流。この合流直下が急斜面で蟻地獄状態で大変でした。でも、この合流点からは東天井岳まで一直線となります。標高的にもあと200mほどです。アップダウンはまだかなり残ってますけど。だいぶ目途が立ってきたけど、体力の消耗具合も深刻。すぐに息が上がり喉はカラカラ。長く続けて歩けません。ピークごとに休憩してました。2694m、そしてその先の鋭鋒を越えたところで、縦走路まで続くなだらかな稜線が見えてきます。あとは楽勝だ~。ホッとひと安心。
二ノ俣尾根のゴールは東天井岳
せっかくなので縦走路からはずれていてみんな登らない東天井岳にも登っておきましょう。一応、二ノ俣尾根の終点ですしね。最後の力を振り絞って登ります。体力残ってなくてホントしんどかったけど、同時に登山道のありがたさを感じながら登っていました。元気だったら、中山に立ち寄っても同じくらいの時間に着いたんじゃないかと思います。懸念された天気ですが、ここまで晴れの天気で経過。よかった。山頂では30分ほどゆっくりしました。あーー下山メンドクサイ。林道余分に4キロ歩くのが気が重い。
常念小屋はお盆なのに閑散としてました
下り始める頃にはすっかり曇っちゃいました。おかげで涼しく下れます。ただ、登ってきた二ノ俣尾根も雲に隠れてしまって残念…。時々見えた時には感動。二ノ俣尾根をまじまじと見ることなんてなかったですからね。常念小屋でまた30分ほど休憩します。テン場のテントはめっちゃ少なかったです。小屋前も賑わいはありません。恐らく林道が通れなくて避けてるんだと思います。
一の沢まで下りてからの林道歩きが長い
とりあえず一ノ沢に向けて下ります。この間も陰ってる時間が長くて助かりました。すれ違う人も少ないし、同じ方向に歩く人も少ないです。登山口まで下りてきて林道を歩きます。一般車の駐車場の少し下が崩落現場で、そこからまあまあ下ったバス停のようなところがタクシー乗り場になっていました。林道のゲートまで歩く間に2台のタクシーに抜かれます。で、なんとゲートに着いたら4台のタクシーがいました。ゲートのカギが何故か変わってしまったらしく、タクシーがゲートを出れないというギャグのような事態に!ちょうど街の方からお迎えのタクシーが来てて、ゲートを境にタクシー乗り換えてました。
冬季ゲートからはチャリで自宅へ
無事にデポしてたチャリを回収です。当然ずっと下り。ブレーキ握る手がキツイ。漕いだのは、平坦なところで信号に引っ掛かった時くらい。下るにつれて気温が上がってムンムンしていくのが感じられました。ひと昔前だとお盆を境に朝晩から涼しくなったもんですが、今は9月になっても暑い。今年の夏はいつまで暑い日が続くんだろうか……
本日の下山後ラーメンは
チャリでいったん帰宅。とりあえず荷物を片付け、お風呂に入って落ち着いたところで、本日の下山後ラーメンです。T世さんがいたら却下されるテンホウ。堀金のテンホウが最近『鶏そばてんほう』にリニューアル。ということで、行って参りました。テンホウのつもりで行ったらテンホウじゃなかった。でも、餃子やチャーハンはテンホウだった。
コメント